女性はその後、ごみのせいで家が手狭になったのか、今回の事件現場となった道路沿いの民家を新たに借りて転居した。
軽乗用車を所有しているが、車内も運転席以外のスペースはすべて荷物で埋められ、路上駐車を続けるなどの行為を繰り返したという。
昼に片付けても夜にはまた…
周辺住民は、これまでも道路の通行に危険を感じたため、女性にごみを片付けるよう再三、注意を促してきた。
女性は、注意を受けても“逆ギレ”して強く抗議するような素振りは見せなかったが、状態が改善されることはなかった。このため、自治会は民生委員や行政、警察、消防など、あらゆる窓口に相談や要望を続けてきた。市は昨年10月、自治会から女性への指導を求める陳情書を受け、職員が数十回にわたり女性宅を訪問。「注意書」を交付し、道路に物を放置することが違法行為であることを伝えてきた。
このうち3回ほどは女性も指導に従い、職員とともに道路に放置していたごみや家財道具を分別して片付けた。しかし、すぐに元の状態に戻る。五條署も道路の現状を確認するため、定期的なパトロールなどを続けていた。
近くに住む男性(61)は「逮捕の前日に清掃を手伝ったが、昼に片付けても夜には元の状態に戻っていた」と証言。「火事が起きないか心配だが、勝手に片付けて『物がなくなった』と言われても困る。どうしたものか…」と頭を抱える。
一方で、近くの食料品販売店の女性従業員は「(女性が)買い物に来た際には服装の乱れはあったものの、話をする限り、おかしな様子はあまり感じなかった」といい、「なぜ、あんな行為を続けるのだろうか」と首をひねる。
「心の穴埋めようと」
「ルポ ゴミ屋敷に棲む人々」の著書もある帝京大の岸恵美子教授(公衆衛生看護学)は、今回の事件について「女性は公共の福祉を害しており、逮捕は必要だったと思う」としながらも、「根本的な解決にはならない」と指摘する。
< 前のページ 1 2 3 4 次のページ > MSN産経ニュースwestへ MSN産経ニュースへ